(3)自殺対策の強化と遺族支援の推進を
平成30年版自殺対策白書によると、日本における自殺者数は2015年で24,025人、人口10万人あたりの自殺死亡率は2017年が16.8で、主要国の中でもロシアに次いで高い値です。2016年に改正された自殺対策基本法は、全ての都道府県と市町村において自殺対策計画を策定することを求めています。また法改正に伴い、国立精神・神経医療研究センター内に新たに「自殺総合対策推進センター」が設置され、地域の自殺対策の支援に取り組んでいます。
小平市では、平成29年の自殺者数は38人、自殺死亡率は20.0だそうです。毎月3.17人の方が自殺していることになります。自殺対策計画について、小平市は、2022年度までの「こだいら健康増進プラン」改訂の際に、同プランに組み込む予定と伺いました。現行のこだいら健康増進プランは、「広げよう、元気のわ!」という副題で、「みずから健康をつくるこだいらへ」を基本理念、「健康寿命の延伸」を基本目標とするもので、追い込まれた末に死に至る自殺者とは対象が異なる印象を受けます。
国が平成29年に閣議決定した「自殺総合対策大綱」は、自殺数の非常事態はいまだ続いているという認識の下、自殺死亡率を他先進諸国並みに13以下とする目標を掲げています。小平市でも、早急に自殺対策を進めるべきです。
1.自殺総合対策推進センターが作成した「地域自殺対策政策パッケージ」は、全国的に実施されることが望ましいナショナル・ミニマムの施策群として「基本パッケージ」を掲載しています。それには、地域におけるネットワークの強化、自殺対策を支える人材の育成、など5項目が上げられ、例えば、「生きることの促進要因への支援」の項目には、居場所づくり活動、自殺未遂者等への支援、遺族への支援、の3つが小項目として上げられています。小平市が策定する自殺対策計画は、これらナショナル・ミニマムとしての基本パッケージの項目をきちんと含むものとなるのでしょうか。
小林市長
おわりに、「自殺対策の強化と遺族支援の推進を」のご質問にお答えします。(答弁担当:健康福祉部健康推進課、市民部市民課、市民部市民サービス担当課)
第1点目の市が策定する自殺対策計画に基本パッケージの項目を含めるかでございますが、自殺総合対策推進センターから提供されている地域自殺対策政策パッケージは、地域の実情にあった計画を策定するために全国的に実施されることが望ましい施策を集めたものでございます。計画を策定する際には、市の実情等を考慮しながら、基本パッケージの項目を計画の中に位置づけていくことを検討してまいります。
<再質問>
水口かずえ議員
第3点目、自殺対策の強化に移ります。自殺総合対策推進センターが作成した地域自殺対策政策パッケージ基本パッケージは、あらゆる自治体が取り組むべき政策として、大項目5項目、小項目13項目を挙げています。小平市では、この自殺対策計画を健康推進プランの中に入れ込むということですけれども、そのような形できちんと基本パッケージの中の項目が含まれるのかどうか、不安です。この基本パッケージの中に含まれている項目をなるべく取り入れるため、どのような工夫をするおつもりかお聞かせください。
篠宮文化スポーツ担当部長兼健康・保険担当部長
健康増進プランの方での取組でございますが、まず、地域自殺対策政策パッケージにつきましては、5つの基本施策とその他に重点パッケージということで、優先的な課題となりうる例について8種類が挙げられております。その他に、地域自殺実態プロファイル、これは地域の自殺の特徴を挙げているものとなります。この3つのものを総合的に検証し、データ分析、市だけのデータでは不足することも考えられますので、様々な東京都のデータ等をクロス集計などを用いながら、検証してまいりたいと考えております。
また、健康増進プランの方でこれを取り入れるというところでございますが、健康増進プランでは、やはり健康というところを視点に置いていますが、自殺の原因として、東京都の自殺原因では健康問題というところからうつ病等になっていくということも、数値として高い数値が出ておりますので、健康増進プランの中で検討していけたらと考えております。以上でございます。
水口かずえ議員
東京都が昨年6月に策定した自殺総合対策計画策定の際には、自殺を専門的に検討できる心理学者や精神科の医療関係者、福祉関係者や民間団体のいのちの電話の代表者などが参加しています。小平市でも自殺対策計画を策定する際には、そのような自殺についての知見を持った専門家や当事者の方などが参加していくことが必要だと思います。そのような方々を策定のための委員の中に含めていただくことは可能でしょうか。
篠宮文化スポーツ担当部長兼健康・保険担当部長
市長答弁でも申し上げた通り、現在のところ、委員の選定についてはまだ決まっておりません。健康増進プラン、前回策定の際には14名の方に入っていただき、学識経験者、医療保健関係者等も入っていただき、また、公募市民も6名入っていただくなど、この辺を参考にしながら、次期計画の際にも人員等を検討して参ります。以上でございます。
水口かずえ議員
自殺対策計画を作る上では、自殺に関して知見を有する専門家や当事者が不可欠だと思いますので、ぜひご検討をお願いします。
相談事業についてなんですけれども、港区の方では、月に4回精神科医師による個別相談を実施しているということがこのパンフレットに入っていました。小平市では、心の健康推進のため、精神保健福祉相談を受けていますけれども、それは病状が安定している方向けのものと書いてありました。これから自殺対策としては、精神科医師による個別相談など、必要ではないかと考えます。これは補助対象事業でもありますので、そのようなことの導入は検討していただけないのでしょうか。
篠宮文化スポーツ担当部長兼健康・保険担当部長
自殺対策につきましては、やはり今御披瀝の通り、精神保健福祉士や臨床心理士などの専門的なスキルが必要となっております。現在市におきまして健康推進課の方の保健師では健康づくりや子育てを中心に行っておりますので、現在その相談体制を構築するところまではちょっと難しいのかなと考えておりますが、ご相談があった際には、東京都等の必要な相談窓口をご案内を積極的にして参ります。以上でございます。
水口かずえ議員
せっかく東京都の補助事業もありますので、ぜひまだ申請されていない自殺対策に役立つ事業の申請を進めていただくよう要望します。
2.現行のこだいら健康増進プランは14名の委員から成る検討委員会によって策定されました。自殺対策計画が次期の健康増進プランに組み込まれるとしたら、その策定の委員会には、自死遺族の支援を行っている団体や当事者など、自殺対策に関係する人も加えられるのでしょうか。
小林市長
第2点目の計画の策定検討委員会の委員でございますが、現行のこだいら健康増進プラン策定の際には、各分野から専門的な意見をいただくことを目的に、学識経験者、医療、保健関係者、公募市民で組織する委員会を設置いたしました。こだいら健康増進プランの更新時における委員の構成や市民公募委員の人数などにつきましても、市の実情や課題などを踏まえ、総合的に検討してまいります。
3.国は、地域の特性に応じた効率的な対策を後押しするため、地域自殺対策強化交付金を交付しています。都内市町村に対しては、東京都を通じて交付され、対面相談事業や電話相談事業、自死遺族支援機能構築事業などの費用が補助されます。小平市は、この交付金を平成30年度は287,000円受け取ったとお聞きしました。国は年間25億円を用意していますが、申請が少なく、消化しきれていないそうです。小平市ではこころの健康づくり講演会や、職員向けのゲートキーパー養成講座などを実施していますが、電話相談事業や居場所づくり、遺族支援、自殺未遂者支援事業など、実施していない補助対象事業も多くあります。今後、この補助金の申請を増やす予定はないのでしょうか。
小林市長
第3点目の補助金の申請を増やす予定でございますが、現在は、こころの講演会やリーフレットの作成、キャンペーン等の啓発活動や、ゲートキーパー養成講座等の人材養成に補助金を活用しております。電話相談事業や遺族支援等の事業につきましては、すでに国や東京都の事業が整備されていることから、事業の周知に努めております。今後は、現状の事業の効果や市単独事業としての必要性等を見極めてまいります。
4.自殺総合対策推進センターが発行した「自死遺族等を支えるために」という冊子には、遺族が必要としている支援の例として、混乱した状況でも遺された親族等が日常生活を営めるよう、必要な情報をわかりやすく記した冊子等を入手できるようにすることが重要、と書かれています。港区では、死亡届を受理する窓口で、死後の様々な手続きについて記載されている冊子を遺族全員に配布しています。地域自殺対策強化交付金の対象には、「自死遺族支援機能構築事業」も含まれています。港区で行っているような窓口での冊子配布を小平市でも始めるべきではないでしょうか。
小林市長
第4点目の窓口における死後の手続き等を記載した冊子の配布でございますが、市では冊子ではございませんが、死亡届の提出後に必要となる主な手続きや持ち物などを確認できる手続きチェックシートを作成し、市民課窓口での配布、及び市ホームページへの掲載を行っております。
また、健康センターでは、自死遺族支援の情報とあわせて、自殺対策の電話相談窓口の案内など、東京都やNPO法人の様々な自殺対策関連のリーフレットを置き、情報提供に努めております。
<再質問>
水口かずえ議員
最後に一つです。小平市では死亡届を出された方に、このA3両面の、こういう手続きが必要ですという紙が配られているんですけれども、港区の方ではもうちょっと詳しく、国民健康保険に加入している場合はどうするか、厚生年金に加入している方はどうするか、子どもがいる遺族の方はどうするかみたいなことがページごとに解説されたものがあります。この中には、遺児のために聖路加国際病院小児総合医療センターで行っている大切な人を亡くした子どもと保護者の集いも紹介されています。小平市ではまだそのような紹介する記載がありませんけれども、そのような記載を含めることも含め、死亡届を出された方への情報提供をもうちょっと改善するということはできないのでしょうか。
斎藤市民部長
(音声途中まで聞こえず)今後、いろいろ見直し、バージョンアップもしてまいりますので、その際には、他市の先進事例等踏まえて参考にしていきたいと思います。以上でございます。
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