小平市議会定例会一般質問通告書

 

質問件名 上水新町保存樹林の宅地開発の事例から、緑地保全に向けた市の施策を問う

 

質問要旨

 上水新町地域センターの裏の雑木林は、全体で3,886㎡が昭和57(1982)年に保存樹林に指定されました。この保存樹林では、平成27年から29年にかけて、25人の市民が参加する雑木林調査隊が樹林内の植物や昆虫、鳥、菌類を調べ、平成29年12月に森のカルテ上水新町保存樹林編として発表されています。森のカルテの目的は、「森の環境と動植物の資源性を調査し、…今後の保全活動や維持管理に活用」とされています。市は昨年2月17日に、この樹林のうち863㎡を特別緑地保全地区に指定し、同年11月に1億2550万2480円で購入しました。しかし、残りの2,987.6㎡は19戸の宅地造成地として開発することを知らせる標識が今年3月11日に設置されました。4月9日に私が開発予定地を訪れた際には、森のカルテでも紹介されている環境省レッドデータブックで絶滅危惧II類のキンランが咲いていました。開発計画の標識の横には、この樹林の保全活動に参加した小学生が植えたアカマツも育っていました。このように市民に愛されてきた保存樹林が、開発で失われるということが繰り返されないようにするための市の施策をお尋ねします。

  1.  市による当該地の特別緑地保全地区の指定はなぜ863㎡だったのか。その理由と指定の経緯をお教えください。
  2.  特別緑地保全地区の購入価格は何を基準に決められるのでしょうか。民間が購入する場合と比べての価格差は。
  3.  今回の開発は3,000㎡以下の「開発事業」ですが、周囲30mの住民への説明は何軒にどのように行われましたか。
  4.  市内の保存樹林の数と面積について、それぞれ最大だった年度と現在を比較してお教えください。
  5. 小平市の保存樹林は、面積330㎡以上の指定要件がありますが、令和元年12月公表の「小平市のみどりに関するアンケート調査結果」では、市民の30.5%が、「要件緩和により、より多くの樹木等を指定・保護すべき」と回答しています。昨年9月の「小平市みどりの基本計画2010 進捗状況報告」でも、重点施策として保存樹林等の新規適用を上げていますが、面積要件の緩和も含めて、保存樹林を増やすための市の施策をお聞かせください。
  6.  小平市第三次みどりの基本計画には、市内のみどりを維持・確保するために、保存樹林等の管理方法の見直しに取り組んできたとの記述がありますが、取り組まれた見直しの内容についてお教えください。
  7.  小平市第三次みどりの基本計画では、平成29年のみどり率29.6%を今後10年間維持することを目標に掲げ、87の政策では、みどりのグランドデザイン(全体構想)を描き積極的に緑地を保全創出し、みどり率30%を達成する、とされています。みどり率を維持・達成するための施策をお教えください。
  8. 樹林を確実に保存するには、特別緑地保全地区として市が買い取るのが最も確実だと思います。小平市第三次みどりの基本計画でも「特別緑地保全地区等の指定の検討」が取組として掲げられています。特別緑地保全地区の指定については、目標を掲げて取り組むべきと考えますが、見解をお聞かせください。
  9.  これまでに「森のカルテ」がつくられた3か所の樹林のうち、上水本町保存樹林は昭和50年に保存樹林に指定されましたが、上水新町同様に宅地開発される恐れはないでしょうか。宅地開発される前に市が買い取る必要性についてお尋ねします。
  10.  清瀬市は、民有地での相続発生などで貴重な緑地が失われるのを防ぐため、雑木林などを公有地とするための買収費用として今年度予算で約5億円を確保したと今年4月22日の朝日新聞で報道されました。緑地買取のための財源確保についての市の考えをお聞かせください。令和元年度決算では、都市計画税収入が23億6071万5520円ありましたが、都市計画税を特別緑地保全地区の買取にも活用してはいかがでしょうか。
  11.  横浜市は、横浜みどりアップ計画の財源の一部として、平成21年度から、個人市民税の均等割に年900円を上乗せし、法人市民税の年間均等割額の9%相当額を上乗せする「横浜みどり税」を導入し、税収は横浜市みどり基金に積み立て、樹林地・農地の確実な担保等にあてています。税収規模は年間個人18億円、法人11億円の約29億円(令和2年度当初予算ベース)とされています。小平市でも、市民の意向を踏まえた上で、横浜市のようなみどり税の導入を検討できないでしょうか。
  12.  埼玉県は、優れた自然や貴重な歴史的環境を次世代に引き継ぐため、寄附等により土地を取得し、県民共有の財産として保全する財源確保のための「さいたま緑のトラスト基金」を昭和60年に設置しています。令和元年度には633件2754万7千円の寄附があり、基金残高は4億8520万5千円です。この基金を使って、平成28年度には三芳町の平地林3haを3億1850万3千円で取得するなど、これまでに緑のトラスト保全地14か所を取得しています。寄附金はふるさと納税制度の適用対象で、税額から控除されます。保全地の保全活動にボランティア参加もでき、保全地を巡るサイクリングコースもあります。
  13.  昨年3月定例会での一般質問では、小平市緑化基金の使途について、特別緑地保全地区の買い取りに必要な一般財源部分を補填する財源としても活用していくとの答弁がありました。小平市緑化基金をさいたま緑のトラスト基金のように緑地保全に有効なものへと発展させることはできないでしょうか。

 上記のとおり、小平市議会会議規則第57条第2項により通告します。

 

令和3年 2月10日 小平市議会議長 殿    小平市議会議員 氏名 水口 かずえ   

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質問件名 多文化共生社会と外国人の人権の確立に向けた市の取り組みを問う

 

質問要旨

 日本における在留外国人数は増加し、2019年には在留外国人の割合が過去最高の2.32%となりました。小平市第四次長期総合計画策定に向けた基礎資料集によると、平成30年10月時点で市内の外国人住民は5063人で、外国人人口割合の2.6%は国の平均より高く、多摩26市中でも2番目に高い値です。小平市の外国人人口割合が高い要因としては、朝鮮大学校や、一橋大学の国際学生宿舎やゲストハウスがあることが上げられます。市内では、ベトナムやフィリピン国籍の方も増加しています。今後も増加が見込まれる外国人の人権を保障し、多文化共生社会を築くための市の取り組みをお聞きします。

 

  1.  総務省が平成18年に公表し、昨年9月に改訂した「地域における多文化共生推進プラン」では、市区町村の役割として、外国人のコミュニケーション支援や生活支援、地域の意識啓発など、多文化共生の推進に関する指針・計画を策定し、取り組むことを求めています。総務省によると、昨年4月時点で、指定都市を除く全国の市の71%で、多文化共生の推進に係る指針・計画を策定しています。小平市での策定状況についてお教えください。
  2.  小平市第四次長期総合計画では、基本目標IIくらしづくりの方針4に「お互いに尊重し、活躍できる社会の実現」を掲げ、多文化共生という言葉が初めて入れられました。しかし、今年5月に公表された2024年度までの小平市第四次長期総合計画第1期中期実行プランでは、「多様性を尊重する地域社会の実現」のための国際交流事業として、国際交流協会への補助金を令和3年度予算と同額の1429万9千円で令和6年度まで続けることが示されているのみで、多文化共生に新たに取り組む意欲が感じられません。多文化共生を目指す施策の今後の方針をお教えください。
  3.  市内に技能実習生は何名いて、それらの方々はどこでどんな実習をしているのか、市内で技能実習生を受け入れている事業所はどれくらいあるのか、把握していればお教えください。また、それらの方々が生活で困難を抱えたときに相談を受け付ける市の窓口はどこですか。
  4.  市民課での多言語対応はどのように行っていますか。外国人の方に、ごみの出し方等の地域のルールはどのように伝えていますか。
  5.  一橋大学国際学生宿舎には、寮生が入るISDAKという組織があります。市内の外国人支援に、このような組織など、大学の協力は得られないでしょうか。また、こだいらブルーベリーリーグに朝鮮大学校が入っていない理由をお教えください。
  6.  文部科学省が昨年3月に公表した「外国人の子供の就学状況等調査結果について」で、外国籍の学齢期の子ども123,830人のうち16%にあたる約2万人が就学していない可能性があることが明らかにされました。市内の外国人うち、小・中学校の学齢期の子どもはそれぞれ何名ですか。また、それらの子ども達のうち、市立小・中学校に就学していない子ども達の数をお教えください。
  7.  外国籍の子どもへの日本語指導について、昨年3月定例会では、小学生20人、中学生7人に計9人の講師を週1,2回ずつ派遣しているとの答弁がありましたが、その後、変化があればお教えください。この体制で、日本語指導は十分だと言えるのでしょうか。
  8.  昨年7月に政府が公表した「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」では、外国人幼児の幼稚園、保育園等への入園を促進し、就学に円滑につなげるため、幼児教育・保育の無償化について周知することを求めています。市内の外国人のうち3~5歳の幼児の数と、幼稚園・保育園への入園状況についてお教えください。
  9.  国は、幼保無償化の対象外の外国人学校幼児教育類似施設など多様な集団活動事業の利用支援を今年度から始め、自治体からの申請に応じて対象幼児1人あたり月額2万円を保護者に補助できるようになりました。この制度により、朝鮮学校幼稚班の児童も支援対象となり、国立市は令和3年度予算に朝鮮学校幼稚園など幼保無償化対象外の集団活動事業を利用する幼児に年間24万円を補助する3人分72万円の補助金支出を計上しました。立川市にある朝鮮学校の幼稚班には、小平市からも2人が通っています。国立市と同様に、支援していただけないでしょうか。
  10.  国立市は、朝鮮人学校及び外国人学校補助金事業も1987年から実施し、朝鮮学校初級部・中級部に通う11人(2019年度)に48,000円ずつ補助しています。国立市以外にも、立川市や国分寺市など14市、23区全てで補助事業を行っています。小平市からも2019年度で15人が朝鮮学校初級部・中級部に通っていますが、補助していない理由をお聞かせください。
  11.  総務省の「地域における多文化共生推進プラン(改定版)」では、多文化共生の地域づくりの一環として、外国人住民の人権保障のため、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」に基づき、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に応じる体制の整備を求めています。小平市には朝鮮大学校があり、外国人に占める朝鮮・韓国籍の方の割合も高く、そのような人権相談窓口を設ける必要性が特に高いと思われますが、いかがでしょうか。

 

 上記のとおり、小平市議会会議規則第57条第2項により通告します。

 

令和3年 2月10日 小平市議会議長 殿    小平市議会議員 氏名 水口 かずえ  

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